Book review
ヤバい日本の住所
日本の住所の例外を上の階層から順に並べていく本。街区符号が「渡辺」になった経緯が印象に残った。
全体のサマリー
日本の住所がなぜ複雑なのかを、上の階層から順にたどっていく本。都道府県や市町村は地方自治法に定義があって混乱が少ないが、下の階層に降りるほど混沌が増す。町や字が何かという定義はどこにもなく、運用も自治体任せなので、例外が大量に並ぶ。
後半では住所を迂回する手段と作り直す試みを見ていく。マップコードやwhat3wordsのような位置コード、住所登録を法的義務にしたサウジアラビアのナショナルアドレス、場所ではなく個人を指す日本郵便のデジタルアドレス。全部を作り直すのは無理でも、デジタル庁のアドレス・ベース・レジストリのように国のマスターデータへ固有IDを振れば、この住所を「ヤバいままに誰もが効率的に扱える」ようになるかもしれない、という話。
感想メモ
日本の住所の話。基本的にはカジュアルに読む感じで、知っていることもあったし、知らないこともあった。
- 住所の例外がめちゃくちゃいっぱいある
- 全体としてはこれが感想。例外の陳列を薄く広く読んでいく。
- 街区符号がアルファベットの上町A・上町B・上町C。日本で唯一らしい。
このように街区符号と住居番号はどちらも数字を使うのが普通です。が、同じ大阪には、街区符号にアルファベットが使われている地域があるのです。大阪市中央区上町がそれで、
- 街区符号「渡辺」が残った経緯
- ここが一番面白かった。「渡辺」が小字でも住人の姓でもなく街区符号そのもの。
- 合区で消えかけた地名を、坐摩神社の宮司と「全国渡辺会」が働きかけて街区符号として残した。住所側の理屈ではなく、外から押し込まれて残っている。
それが上町の例と同じく1989年(平成元年)に東区と南区が合区されて中央区が新設されるにあたり、周辺地域と統合されて久太郎町になることになりました。渡辺という地名は風前の灯だったわけですが、渡辺町、というより坐摩神社の当時の宮司がそれを良しとせず、市議会など各方面に働きかけた結果として、渡辺の地名を街区符号という形で残すことになったそうです。また、そこには全国の渡辺姓の人たちでつくる組織「全国渡辺会」の応援もあったとのこと。
- 上の階層は決まっているのに、下は柔軟なまま引きずっている
- 都道府県のレベルは結構決まっている。市町村より下は柔軟な形で残してしまって、それを今も引きずっている。
- 著者は原因を3つ挙げている。そもそも町や字が何かという定義がない、国がまとめて管理せず自治体任せ、だから地域の事情を汲んだ例外が通る。
・住所の構造の定義が曖昧だったり、そもそもなかったりする ・国としての一元的な管理が行われず、地方自治体任せの部分が多い ・それもあって地域の事情をなるべく斟酌しようとする力学が働く
- パースできるかという話
- 長野市南長野県町みたいなやつだと、普通に文字列マッチだと駄目だよねという話。
- 読んでいて、住所で曖昧さを探すことになるんだなという感じになった。
間違えて町名を2度書いたのではなく、実際に同じ町名が2度繰り返されているのが正式な住所です。「町・大字について」の項で述べたように、市町村を合併するにあたって元の市町村名を大字に転換した結果このようなことになったのでした。
- マップコードとサウジアラビアのナショナルアドレス
- この辺の話は面白かった。
サウジアラビアのショートアドレス これだけさまざまな住所の例外を見ていると、誰もが「もう全部捨てて一から作り直そうぜ」と一度は考えるところですが、それを実際に行ってしまった国があります。それがサウジアラビアです。