Book review

モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方

年長者がメンターでありながら新しい知識を学ぶインターンでもある「メンターン」という考え方が面白かった本。

全体のサマリー

年長者が経験を伝えるメンターであると同時に、新しい知識を学ぶインターンでもある「メンターン」という役割を軸に、世代を越えて知恵を交換する働き方を考える。

感想メモ

モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方 | チップ・コンリー, 大熊 希美, 関 美和, 外村 仁 | 実践経営・リーダーシップ | Kindleストア | Amazon

メンターン: メンター + インターン

メンターンという話が面白かった。 著者はタイトルにあるように年長者であるけど、Airbnbに入ったときにITに詳しくなかったので、まるでインターン的に新しく知識を知る必要が色々あった。 一方でメンター(元CEOでもあるので)としてアドバイスを求められたりとかするって言う状態。 この状態を合わせてメンター + インターンのことをメンターンと読んでいた。

この状態は年長者から見れば若者にはITとかを教えてもらいつつ、一方で年長者は思考とかについてのアドバイスするって言う交換的にできる。お互いに何かを学ぶことができて、知恵の交換ができるし、互いにとっていいのではという話。 なので世代が下から上に教えることはあるし、上から下へ教えることもある。(そこに変に抵抗持つのは微妙じゃない?って話)

別のところで、若い人は家のIT管理者になってることが多くて、こういうITについて教えてるのに慣れてるだろうって話が面白い

知恵と経験: モダンエルダー

だが「年寄り」と「年の功」は、そろそろ分けて考えたほうがいい。「年寄り」はこの地上に長く存在しているというだけだ。「年の功」は、そうして生きた年月のあいだに成し遂げた蓄積だ。長い経験から知恵を引き出すことなく、ただ生きている人は多い。だが年功者は自分が学んだことを深く考え、それを知恵に組み入れて若い世代に提供する。年寄りは老けていて社会に頼っていることも多く、若者とは切り離されている。だがそれとは逆に、社会はこれまで「年の功」に頼ってきたし、年功者は若者の役に立ってきた。しかも今では介護施設に移る人の平均年齢は81歳(1950年には65歳だった)にもなり、「年寄り」ではないけれど「年の功」がある人はものすごい数にのぼる。

「年寄り」とかはある種軽蔑な意味合いを持つようになったけど、QueerとかRedneckみたいに昔は否定的な意味合いで使われてたけど今肯定的な意味合いで使われるようになった単語もある。 そういう意味でエルダー(elder)という言葉も肯定的(「年寄り」ではなく「年の功」的)な意味合いを取り戻す必要があるという話があった。 これが書籍のタイトルの由来。

今、インターネットがあって、いろんなところから知識を得るのは結構簡単になってきたけど、知恵を得るにはある程度経験とか年齢が関わってくることが多い。 書籍だとナレッジワーカーじゃなくてウィズダムワーカーという話があったのもこの辺が関わってきそう。

年齢差別を打ち砕く方法

年長社員に対するよくある誤解をひたすら回答していく、この章が個人的には一番面白かった。

  1. パフォーマンスとエンゲージメントが低い
  2. 変化に対応できない
  3. 学習能力が低い
  4. 在職期間が短い
  5. コストがかかる
  6. 信頼関係が築けない
  7. 健康面に不安がある
    • 年長者の方が分かれて社員よりも欠勤率が低いという話し面白い
    • あとアメリカ?だと医療費は、健康保険の対象である扶養家族の人数がファクターのほとんどなので、子供が成人してる年長者は逆に健康保険のコスト低くなることもあるってがなんか面白い
  8. ワークライフバランスが取りづらい

の項目で、それぞれ間違いだったり、思い込みだったりということを指摘していってる。

多様性の科学でもそういう話があったけど、年齢も多様性があった方がパフォーマンスが出るというアトラシアンの話が出ていた。

この誤解は差別にもつながることはあって、 次の話が結構興味深かった。

年齢差別よりジェンダーや人種の構造的な偏りを先に解消すべきだ、という考え方はゼロサム的だ。無意識の偏見はどのような形であれ、放置すれば構造的な差別や排他につながる。

「年寄り」の話でも出ていたけど、誰でも年をとって「年寄り」になるは避けられないこと。 なので、この差別に無頓着だとあんまりよくないだろうなーって感じはした。

これ書きながら、GPS捜査の裁判について書かれた刑事弁護人という本でプライバシーについて面白い話があったのを思い出した。(この書籍自体も結構読みやすいし、プライバシーの考え方的に色々面白かった)

「やましいことがなければ、監視されても困ることはないはずだ」よくある反論だ。だが、これは、プライバシーの意味をはき違えている。プライバシーは、やましいことを隠すためにあるのではない。プライバシーが「誰にも干渉されることなく、自分のアイデンティティを形成するプロセスを守るもの」であるからこそ、人が個人として生きていくうえで不可欠な、重要な権利だと言える。

また「刑事弁護人」がなぜ犯罪者の弁護をするのかという話で次のような話があった。

「刑事弁護人」では、罪を犯したと疑われている人の権利を守ることは、いつか同じ立場になるかもしれない自分の権利を守ることでもある、と説明していた。強い国家権力に対して適正な手続きが守られるよう監視するのが刑事弁護人の役割だという話だった。

いつ自分が起訴されたり、裁判にかけられたりするというようなことが自身に起きるかはわからないので、 そういう問題が起きた時に公正な扱いがされるようにチェックするのも刑事弁護人の役割という話。 なので、他人事(犯罪者だけの問題)として捉えるべきではないという話しだった。

時間は大体の人にとって平等で、いつかは誰もが年をとるので、年齢による差別を他人事として捉えるのはよくないことなんだなーと思った。 ガラスの天井みたいな見えない年齢フィルター見たいな求人は実際にあるとは思うので、この年齢の差別の問題はもうちょっと深掘りすると面白そうだなと思った。

40歳からの「転職格差」 と 50歳SEの生き方 を読んだ · azu/book-reviewとかだと、5歳ごとに求人数が半減していくと書かれていた。 モダンエルダーの書籍だと、日本の例もあって多分FROM40の話な気がした。

その他

最後の章がポエトリーだけど、参考文献を文章として紹介してて面白かった(人柄が出てる感じがする) あと解説者が、それはちょっと違うんじゃない?って話を書いてたのもよかった。

中盤の作者以外の話が退屈だったけど、最初の方と最後の方(年齢差別あたり)とかは面白かった。 (Wisdom at Workの方がコンパクトだったのかも) 最初に、末尾の解説を読んだ方がわかりやすい書籍だったのかもしれない。

この書籍はモダンエルダーになる人向けに書かれていた感じはするけど、それ以外の人が読んでも面白い部分はあったと思う。